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家でもできる!?認知症の早期発見に役立つ 認知症のスクリーニング検査とは ★MOCA-J(モカジャパン)篇

老化現象・特性・心理など
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代表的な認知症のスクリーニング検査について知っておこう 【その3】

認知症とは、記憶力や判断力などの認知機能が低下し、日常生活に支障をきたす病気です。認知症は、加齢や脳血管障害、アルツハイマー病などの原因で発症することがあります。認知症は、早期に発見し、適切な治療や介護を行うことで、症状の進行を遅らせたり、生活の質を向上させたりすることができます。

認知症のスクリーニング検査とは、認知症の兆候や程度を調べるための簡単なテストです。スクリーニング検査では、記憶力や計算力、言語能力などの認知機能を測定します。基本的にスクリーニング検査は医師などの専門家が行うものですが、検査によっては家族や自分で行うこともできます。但しこうした検査結果だけで認知症の診断とはなりません。自分や家族で検査を行った結果、検査結果が低く認知症が疑われる場合には、早めに専門医を受診して診察を受ける様にしてください。

日本で使用されている代表的な認知症のスクリーニング検査 MOCA-J(モカジャパン)を紹介します。

MOCA-J(モカジャパン) 軽度の認知症もカバーできる!?

別の記事で紹介している2つのスクリーニング検査(「HDS-R」(長谷川式スクリーニング検査)と「MMSE」)は認知症の疑いがある人を対象とした検査で、軽度の認知症(MCI)の診断には必ずしも十分ではありません。そこで、軽度の認知症(MCI)診断のために開発された「MoCA-J」という方法があります。MoCAは、カナダ発の信頼度の高い指標で、長谷川式やMMSEと重なる質問内容もありますが、より広い質問内容で認知機能を評価します。30点満点中、25点以下でMCIの疑いがあるとされます。
MOCA-Jは、視空間・遂行機能、命名、記憶、注意、復唱、語想起、抽象概念、遅延再生、見当識など、認知機能の多領域を評価するスクリーニング検査です。

検査の進め方 採点方法

上の検査表に従い順に説明します

<視空間・実行系 >
数字からひらがなへ交互に、それぞれ順番通りに線で結んでもらうよう教示します。
「1」からはじめ→「あ」→「2」・・・と線を描いてもらい、「お」で終わります。
【採点方法】線が交差することなく、1-あ-2-い-3-う-4-え-5-おの順に結ぶことができたら1点とします。直後に自ら修正した場合はセーフ(有効)、それ以外でエラーがあれば0点となります。

 図形描写
図の立方体を指さして 同じ図形を出来るだけ正確に,下のスペースに書き写してもらいます。
【採点方法】: 正確に描くことができていたら 1 点。次に示す条件を 1 つでも満たしていない場合は0 点とします。
・3 次元として描かれている
・全ての線が描かれている
・余計な線が加えられていない
・線の並行関係が保たれており,それら長さが類似している(四角柱となっている場合は問題ない)

<時計描画>
空欄に 時計の絵を描いてもらいます。文字盤に数字を全て描き,11 時 10 分を指す針を描く様に教示します。
【採点方法】: 次の 3 つの基準で採点を行い,それぞれに対して 1 点を与えます。
・輪郭(1 点):時計の文字盤が円形であること。わずかな歪みであれば問題ない。
(例えば,円を閉じるところが僅かに不完全でも問題ない)
・数字(1 点):数字が過不足無く描かれていること。正しい順番であり,かつ正しい位置に描かれていること。数字がローマ数字であっても問題ない。
・ 針 (1 点):長針,短針ともに正しい数字を指していること。短針は長針よりもはっきりと短くなく
てはならない。2 つの針が文字盤の中心でつながっていること。
それぞれの基準において,条件が満たされていない場合には 0 点とします。

<命名>
図の動物を左から順に指さし動物の名前を答えてもらいます。
【採点方法】: 動物の名前を正しく言えればそれぞれに対して 1 点を与えます。
(1)ライオン,(2)サイ,(3)ラクダ

<記憶>
教示者が順番に読み上げた単語を被験者によく聞いてもらい、読み終えた後に覚えている単語を答えてもらいます。その際順番は気にしなくてよい事を申し伝えます。 教示者は1 秒につき 1 つのペースで単語を読み上げます。第1試行として、被験者が再生した単語について第 1 試行の欄にチェックを入れていきます。被験者が全て単語を再生し切るか、それ以上再生できなくなったら,教示者はもう一度同じ単語を読み上げ,それを憶えてもらいます。教示者が読み終えてから、その時に憶えている単語を被験者に全て答えてもらいます。対象者が再生した単語については第 2 試行の欄にチェックを入れます。対象者が全ての単語を再生するか,それ以上再生できなくなったら次の教示を与えます。5分後(検査の終り頃)に,これらの単語をもう一度思い出してもらいます。
【採点】: 第 1 試行,第 2 試行とも配点はありません。.

<注意>
 ・数唱課題
教示者は5つの数字を1秒につき1つのペースで順に読み上げます。教示者が読み終えたあと,被験者に繰り返し教示者が読み上げた数字を答えてもらいます。 
次に教示者は3つの数字をやはり1秒間隔で順に読み上げ、被験者には教示者が読んだ順番とは逆から数字を答えてもらいます。
【採点方法】 正しく繰り返すことができたらそれぞれ 1 点を付与します。

・ひらがなリストの読み上げ
続いて教示者はひらがなを1秒ごとに1語づつ読み上げていき、教示者が「あ」と言うたびに被験者には手を叩くように教示します。「あ」以外の語では手は叩かない様に説明します。※手の動きが不自由な方には別の方法で反応を示すように求めてください。
【採点方法】 エラー(「あ」の時に手を叩かないか、若しくは「あ」以外の語の時に手を叩く等)が無いか、1回までであれば1 点を与えます。

・計算
教示者が「やめっ」というまで,被験者には100 から 7 を順に引いて答えてもらいます。(必要があれば 2 回まで教示を与えてよい事とされてます)
【採点方法】正答が一つもなければ 0 点,正答が 1 つで 1 点,正答が 2 ~3で 2 点,4~ 5で 3 点を与えます。計算過程でそれぞれ一回ごとの計算において正誤を判断していきます。例えば,1 回目の計算が間違っていても,2 回目の計算で正しく 7 を引いた数字が答えられれば,2 回目の計算は正答とします。

<言語>
 ・復唱課題
教示者が一行づつ文章を読み上げ、1行目の文章を読んだ後に,被験者に正確に繰り返してもらいます。
次の二行目も同様に教示を与えた後、教示者が2行目の文を読み終えてから同じように被験者に繰り返してもらいます。
【採点方法】 それぞれの文章を正しく復唱できていれば 1 点を与えます。 一語一句正確に復唱できていなければ得点しません。

・語想起課題
教示者が発した一つのひらがなで始まる言葉を,被験者に一分間に出来るだけ多く言ってもらいます。言葉であれば何でも構いません。
【採点方法】 11 個以上の言葉が正しく返せれば 1 点与えます。被験者の発した言葉は余白などに記録し,その数もカウントしておきます。

<抽象概念>
教示者は二つの単語の共通点を被験者に訊ねます。例題にある“バナナ”と“ミカン”について実際に被験者に似ている部分を返答もらい、適切な「果物」の返答が返ってこなければ、「果物」が共通点であることだけ教示し、その後は本題2例の質問に移ります。その際に詳細の教示やヒントなどは一切与えなません。
【採点方法】 それぞれの問題で下記の様な適切な返答が得られれば 1 点を与えます。
電車-自転車:交通手段,旅行の手段,乗り物
ものさし-時計:測るもの,計測に使用するもの,計測器具

 ※車輪がある,数字があるなどの軽微な共通点だけでは適切な回答とみなしません。

<遅延再生>
先の<記憶>検査で憶えてもらった単語を答えてもらい正しくこたえられたものは手がかりのない状態で憶えていたものとして“自由再生”の欄にチェックを入れます。遅延自由再生に続き、再生できなかった単語について下記に示すような意味的な手がかり(カテゴリ)を与えます。手がかり(カテゴリ)によって再生できた場合には、“手がかり(カテゴリ)”の欄にチェックを入れます。手がかり(カテゴリ)を与えても再生できない場合には、多肢選択試行として下記の例で「次の単語のうちどれだと思いますか?」とういう教示を行います。 多肢選択によって再生できた場合には“手がかり(多肢選択)”の欄にチェックを入れます。
 ※手がかりワード
顔: 手がかり(カテゴリ): 身体の一部     多肢選択: 口,顔,手
絹: 手がかり(カテゴリ): 生地        多肢選択: 絹,麻,木綿
神社: 手がかり(カテゴリ): 建物       多肢選択: 神社,学校,病院
百合: 手がかり(カテゴリ): 花        多肢選択: バラ,百合,椿
赤: 手がかり(カテゴリ): 色         多肢選択: 赤,青,緑

【採点方法】 手がかりなく再生できた単語にはそれぞれに 1 点を与えます。手がかりを与えた単語については得点としません。手がかり再生による得点は、記憶障害のタイプに関する追加情報としてのみ使用します。記憶障害が検索の失敗に起因している場合、手がかりによって再生成の成績は改善されます。記憶障害が情報の記憶に失敗している場合、手がかりによる再生成の成績の改善は見られません。

<見当識>
被験者に 今日の日付から質問します。場所についても「ここは何市(区・町)ですか?」「どんな場所(建物)ですか?)と一つづ順に続けて聞いていきます。近くにカレンダーなど被験者がヒントを得て回答できない様に注意します。
【採点方法】 正い回答ごとに 1 点を与えます。すぐに言い直して正解したものは得点します。日付や名前は正確な回答が求められます。

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HDS-R(長谷川式認知症スケール)篇

MMSE(ミニメンタルステート検査)篇

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