韓国は、世界で最も高齢化が急速に進む国の一つです。2020年の高齢化率は16.4%で、2026年には超高齢社会に突入すると予測されています。高齢化に伴い、高齢者の介護ニーズも増大しており、政府は2008年に老人長期療養保険法(介護保険法)を施行しました。この制度は、日本の介護保険制度を参考にしたもので、要介護認定を受けた高齢者に対して、施設サービスや在宅サービスを給付するものです。介護保険法の目的は、高齢者の介護を家族から社会へと移行させることで、高齢者の尊厳と自立を保障し、家族の負担を軽減することです。
しかし、介護保険法の施行から5年が経過した現在でも、高齢者の介護は依然として家族主義レジームに近い状況にあります。介護保険によるサービス受給者は高齢者人口の5.8%にとどまり、国民年金も充実していないため、多くの高齢者世帯は経済的に自立困難です。そのため、家族が介護費用や介護労働を担うことが多くなっています。特に単身世帯や夫婦のみ世帯が増加する中で、子どもや親戚が離れて暮らす場合や連絡が取れない場合など、家族的な支えが不十分な高齢者は孤立や虐待のリスクにさらされています。
このような状況を改善するためには、介護保険法の見直しや拡充が必要です。具体的には、以下のような方策が考えられます。
・要介護認定基準の緩和や柔軟化
・サービス内容や量の充実や多様化
・サービス提供者の質の向上や教育
・低所得者や単身世帯への無料給付や優遇措置
・家族介護者への支援策や教育
・地域社会やボランティアとの連携強化
以上のような方策を実施することで、高齢者の介護ニーズに応えるとともに、家族主義レジームから社会主義レジームへと移行することができるでしょう。
“`
コメント