現代特有のお墓の問題と終活の課題
お墓がないという問題は、日本では近年ますます深刻になっています。
高齢化や核家族化、都市化や移住などの社会的要因により、伝統的な家族墓を継承する人が減ってきています。
また、経済的な理由や宗教的な理由、個人的な好みなどで、新たにお墓を建てることに抵抗感を持つ人も増えています。
では、お墓がない場合、故人の遺骨はどうしたらいいのでしょうか?
終活として、自分の死後、納骨や遺骨の処分について生前中に準備しておくことは重要です。前述の通り近年、お墓が少なくなっていたり、現代家庭の事情で納骨が困難な問題が出てきています。生前に自身の遺骨の納骨や処分方法について準備しておくことで、自分の希望が反映され、遺族の負担も軽減されます。また、相続税の軽減にもつながる場合もあります。
ここからは終活及び遺族によるお墓探しのアドバイス、代替供養の方法として注目されている、永代供養や散骨についても解説していきます。
お墓を探す
お墓探しのポイント
お墓の探し方は、以下の流れで行います。
お墓探しを始める前に、まずは自分の希望条件を整理しましょう。具体的には、以下のポイントを検討します。
- 宗教・宗派
- お墓のタイプ
- 立地(交通アクセス)
- 価格・費用
- 霊園・墓地内の環境/周辺環境
- 施設・設備
- 管理
お墓の情報を集める
希望条件を整理したら、次は情報を集めます。お墓の情報を集める方法は、以下のとおりです。
- お墓専門のポータルサイトを利用する
- お墓専門のポータルサイトでは、全国の霊園・墓地を検索することができます。また、資料請求や見学予約も簡単に行うことができます。
- 石材店に相談する
- 石材店では、霊園・墓地の紹介や契約手続きなどを代行してもらうこともできます。また、お墓のデザインや施工についても相談することができます。
- インターネットで検索する
- インターネットで「お墓」「霊園」「墓地」などのキーワードで検索すると、さまざまな情報が見つかります。
- 霊園・墓地を探す
- 情報を集めたら、実際に霊園・墓地を探します。希望条件に合った霊園・墓地を見つけたら、現地に見学に行きましょう。お墓の場所がわからない場合、石材店に相談することで、お墓の場所を調べてもらうこともできます。
- お墓を契約する
- 見学して気に入った霊園・墓地があれば、契約をします。契約の際には、費用や管理方法などについてしっかりと確認しましょう。
永代供養とは?
永代供養とは、寺院や霊園などが提供するサービスで、故人の遺骨を共同墓地や納骨堂に納めてもらい、僧侶や管理者が定期的に供養してくれるものです。
永代供養のメリット
- お墓の維持管理や相続問題を気にしなくてよいこと
- 費用が比較的安く済むこと
- 場所や宗派を選べること
永代供養のデメリット
- 故人の遺骨に直接触れたり参拝したりできないこと
- 他人と一緒に納められることに抵抗感を持つ人もいること
- 永代供養を提供する施設の信頼性や将来性が不明確な場合もあること
永代供養を行うには・・・
永代供養には、大きく分けて以下の2つの種類があります。
合祀型:遺骨を他の遺骨と一緒に納骨する
個別型:遺骨を個別のスペースに納骨する
永代供養を行うには、以下の流れで手続きを行います。
- 永代供養先を決める
永代供養先は、寺院や霊園、納骨堂などがあります。永代供養先を選ぶ際には、以下のポイントを押さえておきましょう。
希望の宗派や宗教に対応しているか
費用はいくらか
納骨方法はどのようなか
法事や供養はどのように行われているか
- 改葬許可申請をする (既存のお墓がある場合)
永代供養を行うためには、現在のお墓から遺骨を取り出す必要があります。そのため、改葬許可申請が必要です。改葬許可申請は、現在のお墓のある市町村に提出します。
- 遺骨を取り出す
遺骨を取り出すのは、石材店などに依頼します。遺骨を取り出す際には、閉眼供養を行う必要があります。閉眼供養とは、故人の魂を抜くための法要です。
- 永代供養先に納骨する
遺骨を取り出したら、永代供養先に納骨します。納骨は、永代供養先のスタッフに依頼します。
永代供養の費用は、1名あたり5万円~30万円ほどです。費用は、永代供養先や納骨方法によって異なります。
永代供養は、墓じまいをする際にも利用できます。墓じまいとは、現在のお墓を解体して、新しいお墓や永代供養先に移すことです。墓じまいをする場合は、墓じまい業者に依頼して手続きを行います。
永代供養は、遺骨の管理や供養の手間を省くことができるため、忙しい人や、お墓を継ぐ人がいない人などにおすすめです。
散骨とは?
散骨とは、故人の遺骨を海や山など自然の中に撒くことです。
散骨のメリット
- 故人の遺志や趣味に沿って行えること
- お墓の維持管理や相続問題を気にしなくてよいこと
- 費用がかからない場合もあること
散骨のデメリット
- 法律やマナーに抵触する可能性があること
- 故人の遺骨に再び会うことができないこと
- 家族や親族との意見が合わない場合もあること
散骨を行う方法
散骨を行う際には、以下の点に注意が必要です。
- 祭祀承継者の確認
- 祭祀承継者は、遺骨や仏壇、お墓などを処分したりできる権利を有しています。そのため、散骨を行う際には、祭祀承継者の同意を得ることが重要です。
- 遺骨の粉砕
- 遺骨を散骨するためには、遺骨を粉砕する必要があります。自宅で粉砕することも可能ですが、業者に依頼することもできます。
- 水溶性の紙袋への封入
- 粉砕後の遺骨は、湿気を吸い込みやすいため、水溶性の紙袋に入れて封じます。
- 骨壺や骨箱などの処分
- 骨壺や骨箱は、散骨を行う際に処分する必要があります。
- 散骨の場所や方法の検討
- 散骨を行う場所や方法は、故人の希望や遺族の希望を踏まえて検討します。
散骨は、主流の埋葬方法ではないため、親戚やお寺から反対されることもあるでしょう。また、他人の私有地や公共の河川や湖、水源に近い場所への散骨は避けるべきです。
可能であれば専門業者に依頼をした方が安全です。専門業者は、散骨の場所や方法に関する豊富な知識と経験を有しています。また、散骨の際に必要な手続きや許可なども代行してくれるため、遺族の負担を軽減することができます。