「高齢者の交通事故事情」数字で見る75歳以上ドライバーのリスク
1.高齢者ドライバーの交通事故傾向~75歳以上の運転者に注目~
高齢化社会の進展とともに、道路上の高齢ドライバーの数も増加しています。特に75歳以上の高齢者運転者は、事故リスクが若年層に比べて高いことが統計から見えてきます。ここでは、警察庁交通局のデータ(令和6年=2024年)をもとに、高齢ドライバーの交通事故の傾向をまとめます
| 年次 | 死亡事故件数(件) | 重傷事故件数(件) |
|---|---|---|
| 2014年(H26) | 475 | 702 |
| 2019年(R1) | 409 | 585 |
| 2023年(R5) | 384 | 435 |
| 2024年(R6) | 410 | 435 |
※「死亡事故」は第1当事者が一般原付以上の運転者による事故件数を示しています。
- 死亡事故件数は減少傾向ではあったものの、令和6年は再び増加。
- 高齢運転者による事故は、事故件数そのものよりも被害の重大性が目立ちます。
2.免許保有者10万人あたりの死亡事故件数
高齢者の事故リスクをより明確にするため、免許保有者10万人あたりで比較すると以下の通りです。
- 75歳以上:5.2件/10万人
- 75歳未満:2.6件/10万人
→ 75歳以上の高齢者は、若い世代の約2倍のリスクがあります。
3.事故類型別の傾向(令和6年)
令和6年における75歳以上の自動車運転者による死亡事故(合計382件)の事故類型は以下の通りです。
| 事故類型 | 75歳以上(件) | 構成率 | 75歳未満(件) | 構成率 |
|---|---|---|---|---|
| 車両単独 | 174 | 45.5% | 292 | 17.9% |
| 車両相互 | 123 | 32.2% | 600 | 36.9% |
| 人対車両 | 80 | 20.9% | 735 | 45.1% |
| 列車衝突 | 5 | 1.3% | 1 | 0.1% |
| 合計 | 382 | 100% | 1,628 | 100% |
ポイント
- 75歳以上は「車両単独事故」が全体の45.5%と突出して高く、若年層(17.9%)の約2.5倍。
- 車両単独事故は、運転者の判断ミスや操作ミスが原因になることが多く、高齢者特有の傾向と考えられます。
4. 高齢者の死亡事故全体
交通事故の全体に占める高齢者の割合も増えています。
- 令和6年の交通事故死者数:2,663人
- 65歳以上の死者数:1,513人(全体の56.8%)
- 65歳以上の死者は前年より3.2%増加
- 特に「自動車乗車中」の死亡者が増加傾向
解説
- 高齢者は交通事故で被害が大きくなりやすく、事故の死亡リスクが高いことが統計から見て取れます。
- 75歳以上は、事故の種類や死亡リスクの面で特に注意が必要です。
まとめ
- 75歳以上の高齢ドライバーは死亡事故リスクが高く、特に車両単独事故が多い。
- 高齢ドライバーの事故件数は一時的に減少したものの、依然として増加の兆しがあります。
- 高齢者の事故対策や免許更新時の安全対策がますます重要です。
交通安全や終活の一環として、高齢者自身や家族が運転リスクを理解し、適切な対策を検討することが求められます。